KOBECCO(月刊神戸っ子)2026年7月号
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高エネルギー加速器研究機構の多田と申します。前々回、前回と、高速で動くと時間が遅れ、光の速度と同じとなると時間が止まる、という話をしました。では、光の速度を超えてしまったら、いったいどんな恐ろしいことが起こるのでしょうか?そんな心配は不要です。人は光の速度を超えられないからです。今回はその話をしましょう。第六回でご紹介した、僕が勤める加速器実験施設J-PARCですが、三段の加速器で順に粒子(陽子)の速度を上げていきます。中段の加速器が陽子に与えるエネルギーが3GeVです。そして最終段の加速器が陽子に与えるエネルギーが30GeVです。実に十倍になっています。では速度もそれなりに上がっていくのだろう───と、思うでしょう? ところが、速度でいうと、前者が光速の九五パーセントの速度なのに対して、後者は九九・九五パーセントなのです。つまり、十倍のエネルギーを与えても、速度はわずか一・〇五倍にし多田先生!ニュートリノと 宇宙のはじまり教えて 連載〜第37回〜「人は光の速度を超えられない」自然界で最も大きな存在が宇宙、そして最も小さな存在が素粒子と考えられている。素粒子を研究することで、宇宙のはじまり、人間の存在を解明する︱︱ 日本の誇りをかけて、その最前線で日々研究に打ち込む素粒子物理学者・多田将先生。謎に包まれた宇宙について多田先生に教えていただきます。さあ、授業のはじまりです!58

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