―三味線のこと、知らないんです。和楽器なのに。良一郎 三味線に触れる機会ってないですよね。本物を見る機会もなかなかない。まず保管が難しいんです。湿気は大敵なので細やかに手入れをしないと破れてしまう。なので学校の音楽室に設置することができません。それに「ちょっと鳴らしてみよう」ができない。音がすぐには鳴らないので、子どもたちに体験してもらう機会も作れないんですよ。健一 和楽器はどれも難しくて、例えば尺八は首の角度で音を変える。それができるまで「首振り三年ころ八年」と言われています。それに音程も繊細です。三味線は弦が絹なので弾いてると伸びちゃう。伸びると音程が下がっていくので、曲の途中でも調整が必要。そんなわけで、ますます世間と和楽器は遠ざかってきました。―お二人は、そんな楽器に子どもの頃に出会いました。健一 出会ったけれど。好きになって自分の意思でがんばり始めたのは、津軽三味線と出会ってからです。それまで習っていたのは、細棹といって小さめの楽器。持ち方も違うし、音階は一緒ですが、音色も音量も違います。別の楽器を持たされたくらい違ったので、「なんだこれは!難しいぞ!」と思いました。良一郎 楽器もばちも大きいから、子どもの手では、ばちを的確に弦に当てるところから難しい。当たる面が多いとひっかかる、少ないと鳴らない。ちょうどいいところに当てないと音すら出ない。逆にその分、音のバリエーションがあるので、演奏もそれまで聴いていたのとは違ったんです。三味線をやっていることが、古臭い、ダサいと思い始めていた頃、津軽三味線の大会で年上のお兄さん達が演奏をしている姿を見て、「かっこいい!」という気持ちが芽生えました。そこからは僕も「かっこいい!」を目指して、次第に「かっこいいを伝えたい!」に。今は「未来につなぎたい!」も加わっています。―『津軽じょんがら節』は有名ですが、細川たかしさんの歌と吉田兄弟の演奏では曲が違う気が…。健一 青森県の津軽地方に伝わる民謡で、民謡って唄い継がれるものなので、楽譜があるわけではないんです。100人の奏者がいたら100通りのじょんがら節があります。知る機会が生まれにくい楽器。『津軽じょんがら節』を詳しく。兄の良一郎さん27
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