KOBECCO(月刊神戸っ子)2026年7月号
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角度が30度近い崖のような地に、まるで浮くように建つブルーボックスハウス。「カッコよければすべてよし」が口癖だった建築家、宮脇檀まゆみの名作です。'64東京オリンピックの公式ポスターの撮影を手がけたフォトグラファーの早崎治から「この土地に柱立てて家つくったら、俺もあんたも笑われちゃうゼ!」と依頼されて、この困難な土地条件に対峙することになった宮脇には、大地をいじることは自然や地球に対する冒涜という意識がありました。近代建築の巨匠、フランク・ロイド・ライトは「建物はその土地に従う」と考えましたが、その弟子のアントニン・レーモンドの薫陶を受けた吉村順三に学んだ宮脇も同じ哲学を胸に秘めていたのでしょう。ゆえに整地を最小限にとどめ、地形を生かしつつ必要な住空間を創出しました。それを可能にしたのは、構造の工夫です。地上2階建てのように見えますが、法的には地下1階、地上1階となっています。それは法規制により建築面積がわずか16坪程度しか認められなかったためで、条件を満たした地下室はその面積に算入されないという建築基準法の規定に着眼し、地階を設けることで必要な広さを確保しています。床面から平均地盤面(敷地全体の平均の高さの水平面)までの高さが、階の天井の高さの1/3以上あれば地階として扱われるので、一部が地上に出ていても法律上は地下室なのです。そして、実は地階と1階では構造が異なります。半分以上が地中に埋まり地圧も受ける地下室は、より堅牢さが求められるので鉄筋コンクリート(RC)造。一方、地盤が良くないことや片持ちで5mほど空中に突き出ていることから軽量化が不可欠となり、1階の大部分や屋根は比較的軽い木造としました。宮脇はRCと木を組み合わせた混構造でその名を轟かせましたが、その第一歩となったこの作品は建築史的にも価値があります。それゆえ2023年、国の登録有形文化財となっています。登録は築50年にあたり、早崎から数えて4代目となる「どう建てるのか?」を追求する平尾工務店にとって、構造は大きなテーマです。おなじみの建物から世界的名建築までさまざまな建築物について、「構造」という視点を交えながら一緒に学んでいきましょう。ブルーボックスハウスChapter 9建築構造インサイト120

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