KOBECCO(月刊神戸っ子)2026年6月号
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正は、こうした歯の代償的な傾きをあえて「ほどく」作業です。土台となる歯並びをきちんと整えてから骨を動かすことで、手術後の噛み合わせが安定し、治療の仕上がりも格段によくなります。一時的に噛み合わせが悪くなったように感じることもあり、患者さんにとって不安に感じやすい時期ですが、それは手術の準備が整ったサインでもあります。―長期間の治療で不安になる患者さんもおられるのでは?全体の治療期間は3〜4年程度となりますが、治療の各段階でその意味をきちんとお伝えし、目標を共有しながら進め、患者さんに安心していただけるように心掛けています。近年は3Dシミュレーションや実体モデルを活用して手術前に詳しいシミュレーションができるようになり、どのように骨を動かすか、術後の顔立ちがどう変わるかをあらかじめ確認しながら計画を立てることができます。患者さんと一緒にイメージを共有できるのも、この技術の大きなメリットです。―顎変形症の治療には健康保険が適用されるのですか。噛み合わせや発音など、機能的な問題が認められる場合の一部で健康保険が適用されます。顎変形症への保険適用は1990年から始まっており、長い歴史があります。保険適用の場合、手術・入院・術後の管理などの費用が保険の範囲内で行われます。また、矯正治療の費用も保険適用となります。ただし、保険適用には矯正専門医の診断が必要で、一連の治療を連携のもとで進めることが条件です。一方、審美目的で行う美容外科の顎手術は全額自費です。自身が対象かどうかは、顎変形症の矯正治療が健康保険で行える指定医療機関(矯正歯科)の診断が必要です。―最近、顎変形症の患者さんは増えているのですか。年々増えている印象があります。以前は「矯正でどうにかならないか」と長く悩まれた顎変形症の治療は、矯正歯科と口腔外科が連携して進める「チーム医療」です。まず矯正歯科で術前矯正(約1〜2年)を行い、歯の位置を整えてから、全身麻酔下で顎の骨を切り、正しい位置に固定する手術に臨みます。具体的には、上顎・下顎それぞれの骨を数ミリ〜1センチ程度動かすことで、噛み合わせを整えます。入院期間は約2週間です。手術後は、術後矯正(約1〜2年)でさらに噛み合わせを細かく仕上げていきます。―なぜ、手術前に矯正が必要なのですか。「矯正をしてから手術」と聞くと、遠回りに感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、この順番には大切な理由があります。顎変形症では、顎の骨の位置がずれているために、歯が互いに噛み合おうとして少しずつ傾いたりしていることが多いです。その状態のまま手術で顎の骨を正しい位置に動かすと、今度は歯同士がうまく噛み合わなくなってしまいます。術前矯86

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