KOBECCO(月刊神戸っ子)2026年6月号
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に、タイトなスケジュール調整をこなしながらも、妥協を許さない姿勢で映画作りに臨んだ苦闘の跡が伺える。綾瀬の夫役は、人気漫才コンビ「千鳥」の大悟。「キャスティングの打ち合わせで、私が候補として挙げたのが大悟さんでした」と是枝監督が明かす。甲本夫婦の故郷は広島。綾瀬は広島県出身で、大悟は広島県の隣の岡山県生まれ。久しぶりに自宅へ〝帰ってきた息子〟を素直に受け入れる妻と、「息子に似たロボットだ」とそっけない夫。綾瀬と大悟が醸し出すこの真逆の佇まい、雰囲気に、是枝監督のキャスティングの意図や狙いが伺え、その洞察力の鋭さを知らされる。長年、関東で暮らす夫婦が、夫婦喧嘩などで感情的になると出てくる標準語ではない故郷の方言のセリフは演技を超えて自然だ。   世界からの高まる期待今作は、5月に開催された今年のカンヌ国際映画祭のコンペ部門にノミネートされた。この日の取材は5月初旬、大阪で行われた。取材の後、「来週、カンヌへ行ってきます」と、世界三大映画のひとつ、カンヌ国際映画祭の〝常連監督〟として世界で名を馳せる国際派監督は言い、大阪を後にした。初めてカンヌ国際映画祭のコンペ部門にノミネートされたのは25年前の2001年、『DISTANCE』だった。その3年後の2004年、『誰も知らない』で主演の柳楽優弥が、日本人俳優として初めて最優秀主演男優賞を受賞し、話題をさらった。そして2018年の『万引き家族』で遂に最高賞にあたるパルムドールを獲得。〝カンヌの常連監督〟から〝常勝監督〟にのぼり詰めていく。また、今年のカンヌ国際映画祭では〝日本人監督〟が注目を集めた。是枝監督と濱口竜介監督、深田晃司監督。3人の日本人監督がコンペ部門にノミネートされたのだ。過去、カンヌで日本人監督が3人ノミネートされた年を調べると、25年前にまで遡らなければならない。この2001年にノミネートされたのは、今村昌平監督と青山真治監督。そしてもう一人が是枝監督だった。映画監督としてデビューし、30年以上にわたり、是枝監督は世界の第一線で踏ん張り続けてきた。ここで、ビッグニュースがもう一つ。英国の実力派スター、エディ・レッドメインを主演に、米大手映画製作配給会社「サーチライト・ピクチャーズ」の製作で新作を撮影することが決まったのだ。映画の構想について聞くと、是枝監督は、「アメリカとイギリスで撮影する予定です。レッドメイン以外のキャスト?まだ言えないんですよ。でも楽しみにしていてください」と笑顔を浮かべた。これまで、フランスの大女優、カトリーヌ・ドヌーヴやジュリエッ24

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