KOBECCO(月刊神戸っ子)2026年6月号
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徹底した「シナハン」と「ロケハン」独自の視座から、社会が抱える課題に鋭く切り込む一方、その視線は温かく優しい。新作のテーマも、やがて迎えるであろう近未来の社会に警鐘を鳴らす一方、家族の普遍の愛、自然の大切さ…への慈愛に満ちている。「新作を着想したのは約2年前」と言い、そのきっかけは、「死者をAI(人工知能)で蘇らせるビジネスが中国で人気だという記事を目にしたことでした」と話す。さっそく、「シナハン」(脚本の準備のためのシナリオ・ハンティング)を行うために中国へ行き、このビジネスを興した会社社長に会って取材し、話を聞いた。「亡くなった本人の音声と画像があれば、映像で本人そっくりに蘇らせることができるんです。しかもAIで学習させれば、録音されていない言葉も話せるようになる。つまり、甦ったその人は〝過去〟ではなく〝未来〟を生きることができる…。これをテーマに映画で描けないだろうか、と考えたんです」さらに、この社長はこうも話していたという。「今は映像だけですが、ロボット技術の研究が進めば、本人そっくりのロボットを開発して蘇らせることを考えている。10年後にはそれは可能なのだと…」〝強力タッグ〟再び中国から帰国すると、「日本のロボティクス(ロボット工学)の研究者たちに会い、取材を進めました」と脚本の構想を練りあげていく。そして、プロットを作った段階で、「主演はこの人に…」と心に決めていた女優へと送った。その女優とは、今作の主演、綾瀬はるかだ。2015年に公開された映画『海街 diary』以来のタッグとなる。「実はこれまでも会うたびに〝また一緒に映画を撮ろう〟と話していたのですが、気づい是枝 裕和(これえだ・ひろかず)1962年、東京都生まれ。早稲田大学卒業。1987年、テレビマンユニオンに参加し数々のドキュメンタリー番組などを手掛ける。1995年、『幻の光』で劇場映画の監督デビュー。2004年、『誰も知らない』がカンヌ国際映画祭で高く評価され、柳楽優弥が日本人初の最優秀主演男優賞を受賞。2018年、『万引き家族』がカンヌ国際映画祭最高賞のパルム・ドールに輝く。2025年にはNetixで『阿修羅のごとく』が世界配信される。新作『箱の中の羊』は5月29日から全国で公開中。21

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