KOBECCO(月刊神戸っ子)2026年5月号
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高エネルギー加速器研究機構の多田と申します。前回は、アインシュタインの経歴についてお話ししました。彼は「奇跡の年」と呼ばれる一九〇五年に四つの論文を発表しましたが、その中のひとつが、彼の代表作とも言える「特殊相対性理論」です。今回は、これがどんな理論なのかについてお話ししましょう。アインシュタインは、まず、重力が働かない(あるいは無視できる)特殊で理想的な条件下での理論を構築しました。物事というのは、単純なものから始めて、少しずつ条件を加えていったほうが、うまく考えられるのです。彼が特殊相対性理論を導き出すにあたって基礎に据えたのは、二つの原理でした。ひとつは、相対性原理です。これは、「力学法則はどの慣性系においても同じ形で成立する」というものです。慣性系というのは、外部から力がかからない空間だと思ってください。つまり、重力も働かない空間です。力が働かないので、物体は慣性の法則にしたがって、等速度運動をします。もうひとつは、光速度不変の多田先生!ニュートリノと 宇宙のはじまり教えて 連載〜第35回〜「特殊相対性理論」自然界で最も大きな存在が宇宙、そして最も小さな存在が素粒子と考えられている。素粒子を研究することで、宇宙のはじまり、人間の存在を解明する︱︱ 日本の誇りをかけて、その最前線で日々研究に打ち込む素粒子物理学者・多田将先生。謎に包まれた宇宙について多田先生に教えていただきます。さあ、授業のはじまりです!64

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