■憧れの人、手塚治虫「手塚漫画を読まずに大人になった人はいないんじゃないかな。とにかく少年時代は夢中になりました。そんな憧れの手塚先生の記念館で展覧会ができたことにびっくりです。漫画雑誌を抱えたあの頃のボクは、今の状況をどんな思いで見るだろう。そんな想像をすると、大変うれしく、大変しあわせです」。そう話すとわたせさんは会場を見渡した。館内には手塚作品の人気キャラクターがあちこちにディスプレイされている。「手塚先生の作品、キャラクターを見ると、今でも子どもの頃の気持ちに戻って、自分の基本に立ち返ることができます」。影響を受けた作品としてはじめに挙げたのは『新寳島』。戦後の日本漫画の出発点とされている、手塚さんの単行本デビュー作だ。「この漫画を読んだ多くの少年たちと同じように、この冒険物語には大きな衝撃を受けました。とにかく漫画として新しかったんです。リズムのよさ、洋風の雰囲気、こんな表現があったのか!と、すべてにワクワクしました」。そして、現在も変わらず人気を誇る『鉄腕アトム』が登場。さらに夢中になった。「アトムが発表されると、これも多くの少年がそうだったと思いますが、真似して描いてみるようになりました。漫画家を目指すとか、そんな気持ちが芽生えるずっとずっと前のことです。描いてみると、いろいろなことがわかってきました。なかなか描けない。アトムって難しいんです」。■手塚治虫のキャラクターを描くそう話すアトムを、わたせさんはこの度、新作『アトムのロマン』の中に登場させた。作品として描いたのは初めてのこと。ウラン、ブラック・ジャック、レオ…。手塚治虫記念館に集うキャラクターたちは、後ろを向いていた「春は幸せのYellowから」©SEIZO WATASE / APPLE FARM INC.27
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