KOBECCO(月刊神戸っ子)2026年4月号
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薬を服用しても効かないうえに、副作用のリスクを背負うかもしれません。また、将来、何らかの感染症に罹ったとしても抗菌薬が効かなくなるリスクもあるかもしれません。―感染症予防に大事なのは、義務付けられたワクチン接種ですか。国や自治体が根拠を持って推奨しているワクチンはありますが、接種が義務付けられているワクチンはありません。それでも、少なくとも、法律に基づいて自治体が主体となって行う定期接種は受けられたほうが良いと思います。また、1968年に定期接種に導入された破傷風ワクチンは、それ以前に生まれた人は接種しておらず、さらに接種した世代でも時間とともに効果が薄れる傾向があり、接種を検討されても良いかと思います。そして、手洗いやマスク着用、日頃からの健康管理は予防の基本です。海老澤先生にしつもんQ.海老澤先生は、なぜ医学の道を志し、感染症内科を専門にされたのですか。A.祖父が感染症の専門医でしたので、子どものころから医療や感染症を身近に感じて、人の役に立てる仕事だなと思っていました。実は高校生のころは、宇宙飛行士になる夢もあり悩んだのですが、外側の宇宙ではなく、体の中という内側の宇宙を専門にしようと決めました。Q.学生さんや後進の先生方に接するにあたって心掛けておられることは?A.例えば「この抗菌薬を使います」と結論だけを話すと、思考がパターン化してしまいます。その判断に至るには、他のどんな選択肢をどんな理由で除外してきたかなど、プロセスをできるだけ共有するようにしています。Q.ご自身の健康法やリフレッシュ法があれば教えてください。A.空や星、花火の写真を撮りに行くのがリフレッシュになっています。近場では三重や和歌山方面、遠いところだとアイスランドへオーロラも撮りに行きました。夕方から夜にかけての空が好きで、日暮れ前から準備をして、夜中じゅう夢中になって撮っていることもあり、健康には良いのかどうか?疲れ過ぎないように気を付けなくてはいけませんね(笑)。Q.患者さんに接するにあたって心掛けておられることは?A.心理的、物理的に患者さんと同じ目線でお話ししようと心掛けています。大学病院ですので重症の患者さんを診るケースも多く「もし逆の立場だったら」と考えたとき、突然、医者が来て体を触られたり持ち上げられたりしたら、怖いと思うんです。たとえ患者さんの意識がなくても、目を開けていなくても、必ず声を掛けながら診察するようにしています。77

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