KOBECCO(月刊神戸っ子)2026年4月号
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―近い将来、HIVは撲滅されるのでしょうか?結核、マラリアと並び、HIVは世界の三大感染症に数えられています。撲滅に向けてさまざまな対策は取られていますが、まだそこに至っていないのが現状です。―感染症を日本の水際で食い止めるには?一つは持ち込ませないこと。結核については2025年3月からベトナム、フィリピンからの長期滞在者に対して非発病証明書の提出が義務づけられました。もう一つは、渡航先の国にどんな病気があるのかを調べて、A型肝炎や腸チフス、狂犬病など必要なワクチン接種をして持ち帰らないようにすることです。―感染症の治療は対象になる細菌次第で決まるのですか。原因となっている細菌を採取して培養検査をし、一番よく効く抗菌薬を選びます。ただし、重症で緊急を要する場合は、まずある程度予測して抗菌薬を投与します。―菌が見つからず、感染症ではないケースもあるのですか。発熱や腫れなどの症状で、他の医療機関や診療科で原因が分からない患者さんが紹介されて来られると、既往歴や診察を基に可能性のある感染症を挙げて検査をします。感染症ではなかった場合でも、どんな病気の可能性があるのかを判断して検査をしたり、専門の診療科を紹介したりします。ですから感染症専門医は幅広い知識を持って診療に当たらなくてはいけません。―抗菌薬が効かない菌が増えているのはなぜですか。適切な診断を受けることなく、必要のない抗菌薬を服用すると、それらが効かない菌たちが元気になって「耐性菌」が生まれてきます。尿路感染症や百日咳、マイコプラズマ肺炎などで、既存の薬が効かない症例が出てきていますが、新たな抗菌薬の開発が追いついていません。例えば、ほとんどのかぜには特効薬はなく、インフルエンザに効くのも抗ウイルス薬ですから、抗菌ります。帯状疱疹も優れたワクチンが開発されていますので、接種が推奨されています。―ご専門のHIVはエイズを発症するウイルスですか。日本における定義では、HIVに感染して、23種類ある特有の感染症を起こしている場合を「エイズ」と呼びます。感染して症状が出ていない段階で治療を始めればエイズにはなりません。感染に気付かず、進行してから免疫力が落ちて何かの感染症を発症してエイズと診断されるケースもあれば、そこまで進行する前に梅毒などの感染症をきっかけに検査をして感染がわかることもあります。―エイズの治療法は進歩しているのですか。かなり確立されています。薬が開発された当初は冷蔵庫に保管し、何十錠も飲む必要がありましたが、今では1日1回、1錠の薬を飲むだけで、感染していない人と同じような生活が送れるようになっています。76

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