ときに、社内ベンチャーに応募し、2003年、「アクティブリンク」(後に「ATOUN」に改名)を起業する。ここでパワードスーツの研究開発を19年間、続けてきた。藤本さんに筆者が初めて会ったのは今から12年前。2014年に遡る。このとき、産経新聞文化部で映画を担当していた筆者は、この年に公開されたトム・クルーズ主演の話題のハリウッドSF大作『オール・ユー・ニード・イズ・キル』を藤本さんに考察してもらうため当時の会社を訪れた。舞台は近未来。エイリアンと戦うために、軍人のトム・クルーズはパワードスーツを身につける。生身の人間のままでは、巨大なエイリアンと戦うことができないため、パワードスーツのアシストで戦闘能力を上げてエイリアンとの闘いに挑むのだ。この取材の際、藤本さんに、「映画で出てくるようなパワードスーツをつくることは可能ですか?」と聞くと、「可能ですよ」と自信を込めて即答したのが強く印象に残った。SF映画好きの藤本さんは、また、「実は『メン・イン・ブラック』に、私たちが手掛けたパワードスーツが登場する、という計画もあったんですよ」と教えてくれた。米の人気俳優、トミー・リー・ジョーンズが活躍するあの世界中で人気のSF映画シリーズに、日本のパワードスーツが登場して活躍する。夢が広がる話だった。あれから12年…。「もちろん技術は進んでいます。だからパワードスーツの改良などは十分可能ですが、実は人が介在してなくても無人でロボットを動かすなど、今では人が危険な作業をしなくてもいい技術や研究も進んでいます」現実に今、ドローンが、無人で物を遠くへ運んだり、人の目ではとらえられなかった高所からの映像を届けてくれる。そんな時代が 始まっている。見えてきた未来実装社会12年後に取材した藤本さんは、それらを今、実現し、具現化しようとしていた。二つの企業で、次々と新たな研究開発に取り組んでいる。その一つが、水道の下水管の故障を予知する技術の開発。「クラウドではなく、現地(オンサイト)で情報を集積し、AIで故障を予知する高度な技術です」と説明し、「これまでのAIはクラウドでの活用。つまり、膨大な情報(ビッグ・データ)を集積し、万人に通用するような技術。今、私たちが取り組んでいるのは、個々人や、それぞれの現場で求められている技術。つまりクラウドではなく、オンサイトでのAI技術の活用です。その現場、現場に応じ求められた情報を分析し、技術を提供していくことです」目指しているのは、「個々の能力を最大限引き出すための研究開発」だ。24
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