KOBECCO(月刊神戸っ子)2026年4月号
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評論もありませんでした。僕がやっていることはロートレックと同じです。21世紀のロートレック(笑)です。何がおかしいですか。今日の美術界は、『HIGH&LOW』などとスローガンを掲げながら、なぜか全く別の方向を向いています。でもアメリカのバーバラ・クルーガーのように、アートの世界にデザインそのものの作品を持ち込んでもいます。ここには商業的スローガンではなく、社会的スローガンのメッセージが書かれています。表現はデザインそのものですが、この作品のコンセプトがアートであるという意識で、アートとして評価されているのです。つまり、われわれはいつの間にか、作品を目で眺めることから、作品を頭で考える方向に変化して、そのためにデザインがアートに変換されたわけです。そこで僕は、自分の作品に戻ります。「アートか?デザインか?」という実にくだらないことに関心が向いている「時代」のこの世界で、僕はどっちだっていいのです。アート、デザインを越えて、自分も越えたい、と思っている僕の意識と今日の美術界の意識は、あまりにもズレているように思います。つまり、僕は意味とか目的から自由になりたいと思っているだけです。しかし今日の芸術全般においては、意味と目的という大義名分に操られています。「画家とデザイナー」というテーマには、なんとなくお答えできたかなと思います。ではこの辺で。美術家 横尾 忠則1936年兵庫県生まれ。ニューヨーク近代美術館、パリのカルティエ財団現代美術館など世界各国で個展を開催。旭日小綬章、朝日賞、高松宮殿下記念世界文化賞、東京都名誉都民顕彰、日本芸術院会員。著書に小説『ぶるうらんど』(泉鏡花文学賞)、『言葉を離れる』(講談社エッセイ賞)、小説『原郷の森』ほか多数。2023年文化功労者に選ばれる。約1,000点収録の全ポスター集「The Complete Posters of Tadanori Yokoo from1953-Today」© hesign  2025年70年以上にわたるポスター創作の軌跡を完全収録した作品集。それぞれの作品が当時の文化と芸術の精神を体現し、横尾さんの視覚言語の探求と作風の進化を辿っています。横尾忠則現代美術館横尾忠則現代美術館では『大横尾辞苑 これであなたもヨコオ博士!?』開催中!19

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