切り出して 墨すって 回文「なかきよのと おのねふりのみなめさめなみのりふねのおとの よきかな」書いて 乾いたら 宝船 折ろう 》。 包装紙に墨で回文を書きこみ、その紙で帆掛け船を折って、夜寝る時に枕の下に置き、翌日に近くの阿武隈川に流すのだと。橋からは蔵王の山も見えるという。そんなことを写真と共に上げておられる。 弾正原さんのお話しでは、この風習は昔のこととしてもう行われていないような印象だった。 トークが終わってからわたしは弾正原さんに、スマホで森さんのそのことを書いたSNSをお見せした。すると彼女、大いに驚いて、「これは続けてほしいですね」と。 この顛末を、わたし帰宅してから自分のSNSに上げたのだが、それを見た森さんからコメントが入った。 《わわわ 思いがけぬところに もりあやこ 登場! 幼い頃からやっていたもので 当たり前のこと だとずっと思っており 高校生くらいのときに 友人たちが「そんなのやったことない」と言った のを聞いて えええ!?と びっくりしたこと ありました》 これを見るとこの風習は、宮城県角田市で一般的に行われているのではない様子だ。ますます「ぶんぶんさん」の存在が貴重である。弾正原館長のおっしゃる通り、森さんには「初夢・宝船」の風習を是非とも続けてもらいたい。いや、それだけではなく、周りにも広めて、残してもらいたいものだ。もしかしたら、読者の中にも「それ、やってる」という人があるかもしれないが。 因みにこの回文だが、漢字では次のように書くらしい。 長き夜の遠の睡りの皆目醒め波乗り船の音 の良きかな(実寸タテ16㎝ × ヨコ9㎝)■今村欣史(いまむら・きんじ)兵庫県生まれ。兵庫県現代詩協会会員。「半どんの会」会員。著書に『触媒のうた』―宮崎修二朗翁の文学史秘話―(神戸新聞総合出版センター)、『コーヒーカップの耳』(編集工房ノア)、『完本 コーヒーカップの耳』(朝日新聞出版)、随筆集『湯気の向こうから』(私家版)ほか。■六車明峰(むぐるま・めいほう)一九五五年香川県生まれ。名筆研究会・代表者。「半どんの会」会員。こうべ芸文会員。神戸新聞明石文化教室講師。83
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