膜を元通りに縫合して、外した骨片を開頭部に戻して、チタン製のプレートを使ってスクリューで動かないように固定します。―脳腫瘍の治療は外科手術で取るというのが基本ですか。腫瘍の種類とできている場所、範囲によって方針を決め、患者さんの病状を悪くしない範囲でなるべく摘出するのが原則です。良性腫瘍であれば、取り残しても大きくならないこともあり、仮に大きくなってもガンマナイフ治療という1日で終わる放射線治療で対応できる場合もあります。悪性腫瘍で、外科手術で取りきれない場合は、化学療法や放射線療法、最近では分子標的薬という特別な薬も使い、なんとか患者さんに元気になってもらえるような治療を行なっています。放射線や化学療法がよく効くとされている一部の腫瘍は、なるべく手術で摘出するということはせず、頭に穴をあけて専用の針を入れ、ひとかけらの組織を採取する生検術のみで診断するので、患者さんの手術の負担は比較的少ないとされています。―頭の中の血管の病気にはどのような病気がありますか。脳の血管が詰まる脳梗塞、脳動脈瘤が破れて起こるくも膜下出血、高血圧が原因でおこることが多い脳出血などがあります。脳梗塞のほとんどは細い血管が詰まるラクナ梗塞と呼ばれるもので、内科や脳神経内科の先生が治療をされます。太い血管が急に詰まって意識障害や半身不随を急に起こしてしまった患者さんには脳神経外科医が、詰まった血管から血栓を摘出し血流を再開させるカテーテル治療をし、再発を予防するために、頭皮の動脈を脳の表面の血管に吻合するバイパス術も行っています。くも膜下出血を起こした破裂脳動脈瘤には、開頭してチタン性のクリップを動脈瘤の頸部にかけて再破裂を予防するクリッピング術や、カテーテルで動脈瘤の中にコイルを詰めたり、金属でできた網状の筒・ステントを血管に置いたりする手術で出血を予防します。―頭蓋底外科とは?頭蓋底とは頭蓋骨の底の骨で、視神経や顔面を動かす神経、顔面の感覚神経、聴力の神経、飲み込む神経、眼球を動かす神経などさまざまな神経が貫通し、近くにはこれらを出す脳幹が存在します。この領域の手術を行う分野が頭蓋底外科で、比較的小さな開頭で脳幹と骨の間の限られた隙間を通って脳の深部の手術をします。専門的な知識と技術が必要な領域とされます。―脊髄や脊椎も脳神経外科の治療領域なのですか。脳からの情報を伝達する神経の束が脳幹から腰までつながっていて、首から下の脊髄にできた病気も脳神経外科の領域です。脊髄の中の腫瘍だけではなく、その周りにできた髄膜腫や神経鞘腫も手術をします。脊髄を包んで保護している構造物には脊椎や椎間板があり、これらの変形等で脊髄やそこから出ている神経が圧迫されて症状がでる場合は、整形外科の先生も手術を行って圧迫を解除74
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