得していったという英語と日本語で互いの心を探り合うように展開するフレイザーと柄本の共演シーンは緊張感に包まれ〝日米名優対決〟を見るよう。数々の名作で幅広い役を演じてきた二人だが、今作ではこれまで見せたことのないような表情を見せているのも興味深い。フレイザーが、HIKARI監督のことを「地球上の誰とでも話せる」と評したように、柄本もその魅力に魅せられた一人だった。ロンドンの映画祭にHIKARI監督は柄本とともに参加し、現地の観客と一緒に映画を鑑賞。上映後、スタンディングオベーションを浴びながら、柄本は隣のHIKARI監督に、「やったね!HIKARI監督」と声をかけ握手し、労をねぎらったという。東京、鎌倉、島原、天草…。日本列島を縦断しながら、全編日本ロケを敢行した。撮影期間は約3カ月。「これだけの日数を確保するのは日本映画では難しいかもしれませんが、米映画の製作システムならできる。いい映画を撮るためには譲れない条件です。ワンカット、ワンカット、納得のいく映像が撮れるまで粘って撮影できました」とHIKARI監督は強調した。大都会・東京の摩天楼の煌びやかな夜景から、海と山に囲まれた雄大な島原、天草の大自然まで。外国人が見ても、日本人が見ても、「これが日本だ」と魅了させられる美しい情景描写は圧巻。これまで数多く製作されてきた日米合作で描かれた日本の描写とは一線を画している。長年、日米両国で暮らし、それぞれの文化、慣習、風土、両国の人の心情の機微の違いまでを知り尽くしたHIKARI監督ならではの感性が違和感のない映像を紡いでいく。フィリップが日本人独特のものの考え方や感情表現、日本社会の風習や常識などに戸惑いながらも〝レンタル・ファミリー〟から本物の家族のように人間関係を築いていく過程は自然で、見ていて違和感を感じ日本の名優、柄本明(左)と〝オスカー俳優〟ブレンダン・フレイザーとの競演も大きな見どころだ24
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