神戸市立博物館には、国宝1件21点、重要文化財8件87点を含む、約8万点の考古・歴史資料、美術資料、古地図資料が収蔵されている。神戸出身の蒐しゅうしゅうか集家として知られる池いけなが長孟はじめの南蛮美術コレクションも所蔵しており、中でも日本に初めてキリスト教を伝えたフランシスコ・ザビエルを描く礼拝図『聖フランシスコ・ザビエル像』は日本人にとってなじみが深い。この礼拝図は高山右近の旧領・千せんだいじ提寺、現・茨木市の東ひがし家に密かに伝来し、大正9年(1920︶に発見され、昭和10年(1935︶、池長孟が買い受けたもの。市立神戸美術館、市立南蛮美術館を経て、昭和57年(1982︶開館の、神戸市立博物館に収蔵された。16世紀末に刊行された『ザビエル伝』掲載の銅版画肖像と同じく、祈りの際に神の愛に触れてザビエルが叫んだ言葉「充分です、主よ、充分です(SATIS EST DÑE SATIS EST ︶」が記されている。一方、この銅版画には見られない「燃える心臓」と「十字架」というモチーフがあり、この像を描いた日本人絵師とその周辺にいた西洋人宣教師が独自に追加したと推測される。下部にはラテン語表記、その下の黄色地には万葉仮名が書かれ、右に「IHS」の朱印、左に壺印の押印が見られる。禁教下、多くの聖画が破棄されたなかで、現代まで伝世した数少ない江戸初期の貴重な洋風画として、平成12年(2000︶、重要文化財に指定されている。神戸市立博物館神戸市中央区京町24番地TEL.078-391-0035開 館 9:30~17:30(金曜・土曜は20:00まで)休館日 月曜(祝日または休日の場合は翌平日)入場料 神戸の歴史展示室(1階)無料コレクション展示室(2階)一般300円、大学生150円、高校生以下無料特別展については展覧会によって異なる「十字架」と「燃える心臓」(下)。いずれも『ザビエル伝』では描かれていない神戸市立博物館(旧横浜正金銀行神戸支店)桜井小太郎設計、昭和10年(1935)竣工。昭和初期の名建築として知られ、現在は登録有形文化財である15
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