高エネルギー加速器研究機構の多田と申します。第23回から、今回含めて一〇回にわたって、暗黒物質の話をしてきました。今回は、そのまとめとして、暗黒物質がわれわれに齎したもの、そしてその先についてお話ししましょう。第25回で、「Cosmic Evolution Survey」という観測についてお話ししました。それは、宇宙における暗黒物質の分布を調べ、それによってこの宇宙がどのように進化していったのか、を研究するものです。「どのように進化していったか」はこのような観測やそれを基にした計算によって推測することになりますが、いっぽうで、「最後はどうなったか」、つまり現在の宇宙の姿は、これとは別の、星々の観測によって直接知ることができます。この二つが、矛盾していてはなりません。「進化の過程」は、その結末が、現在の宇宙の姿に行き着かねばならないのです。現在の宇宙の姿というのは、われわれの太陽系を含む銀河があり、それらの銀河が、銀河団という集まりになっている、この姿です。不思議なことに、宇宙は、物質が均一に分布してい多田先生!ニュートリノと 宇宙のはじまり教えて 連載〜第32回〜「暗黒物質が宇宙に齎したもの」自然界で最も大きな存在が宇宙、そして最も小さな存在が素粒子と考えられている。素粒子を研究することで、宇宙のはじまり、人間の存在を解明する︱︱ 日本の誇りをかけて、その最前線で日々研究に打ち込む素粒子物理学者・多田将先生。謎に包まれた宇宙について多田先生に教えていただきます。さあ、授業のはじまりです!64
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