作品の中の女性は、所作も美しいですね。屈んで履き物を揃える姿とか…。着物を着ていたからこその、日本女性ならではの所作ですね。「男性は…」「女性は…」という言い方をするのは難しい時代ですが、ボクは日本に生まれ育ったから、そのような所作を美しいと感じます。茶道もそうですね、厳然たる歴史の上に成り立っている日本の所作は美しいと思います。もうひとつの都、東京が舞台の作品は、新しいものと古いものとが入り混じって、雰囲気がまったく違います。東京にしかない良さを描きたかったんです。どんどん開発されて新しくなっていくスピード感。変わっていくおもしろさ。けれど、変わらない風景もたくさんあるし、描きたいと思う歴史ある建物もたくさんあります。街にはそれぞれに良さがあって…。神戸だったら、港があって船が見える。海の向こうに外国を感じるところとか、神戸独特の風とか。そんな良さを見つけて描くのが楽しいんです。風といえば…。原画には、細かい色の指示と風の向き、強弱も書いてあります。風、大事なんですね。もちろん。作品には時間が流れていますから、当然、風も吹いています。ぜひ、風も感じてみてください。色は無限大なので、やはり細かくなります。ボクはアナログとデジタルの両方を使って表現していますが、色校正といって、印刷した時の色の仕上がりを確認する作業を何度も何度も繰り返しています。1番難しいのは肌の色ですが、ありがたいことに長い間一緒に仕事をして、好みの色を理解してくれている方がいるので、今はそんなに苦労はありません。今回の2人もいい顔色をしているでしょう?さんちか開業60周年記念イラスト(2025年10月)28
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