KOBECCO(月刊神戸っ子)2026年2月号
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両親に会いに行った。カンヌ国際映画祭で、河瀨監督が史上最年少で「カメラ・ドール」(新人監督賞)を受賞した『萌の朱雀』(1997年)で、デビューした女優、尾野真千子も今作に出演している。オーディションでヒロインの子役が見つからず、奈良・西吉野の中学校で掃除をしていた、当時、中学3年生だった尾野を見つけ、声をかけたのが河瀨監督だった。その後、河瀨組常連となった尾野は、今作では、“移植が間に合わなかった子”の母の心情を細やかに体現する。『萌の朱雀』でデビュー後、尾野は映画やドラマなどで欠かせないスター女優として成長していく。今作の子役の話に触れながら、「なぜ、地元の中学生だった尾野を抜擢したのか?」と聞くと、河瀨監督は「(尾野)真千子の眼は明らかに他の子供と違ったから」と言い、次に、「現在の人気女優となる姿を想像しましたか?」と問うと、「もちろん。確信していました」と即答した。今作には、尾野と同じく河瀨組常連の永瀬正敏も出演。ドナーとなる男児の父役を好演する。「セリフは彼の故郷、(宮崎県)都城の方言で話してもらいました」と河瀨監督。永瀬の胸の奧底からふり絞るようにして発せられる“魂のセリフ”が涙を誘う。映画で生きる覚悟と宿命取材の冒頭、「新作は6年ぶり、オリジナル脚本は8年ぶり」と語ったことには理由がある。2020年開催の東京五輪の公式記録映画の監督に指名され、「東京2020オリンピック SIDE:A」と「東京2020オリンピックSIDE:B」の2本のドキュメンタリー映画を製作。今年開催された2025年日本国際博覧会「大阪・関西万博」ではテーマ事業プロデューサー兼シニアアドバイザーという重職を務めた。方や映画監督という範疇を超え、2021年から2年間、バスケットボール日本女子リーグ『たしかにあった幻』のワンシーン24

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