通勤し、買い物など日常生活を送る動線のなかで描かれる場所は地元の人たちに協力してもらい、街を歩きながらロケハンして選びました」と河瀨監督は説明する。コリーが迅と一緒にマンションの部屋から眺める神戸の美しい夜景。芦屋市民に長年親しまれてきた伝統の秋祭りの場面では、地元の人たちが、だんじりを曳くシーンが臨場感豊かに再現されている。芦屋の商店街を散策するコリーが、商店主から七夕の笹をプレゼントされる場面も印象的だ。「大勢の人たちが快く撮影場所を貸してくれたり、エキストラとして協力してくれ、とても感謝しています。日々暮らす地元の街並みをスクリーンを通じ、改めてその魅力を感じ督からの提案で取材場所は芦屋市立打出教育文化センターに決まった。今作の劇中、神戸や芦屋市内の街並みが随所に登場する。「コリーが勤務する医療センターは神戸市内にあり、彼女が暮らすマンションは神戸と芦屋の中間にあります。彼女がてもらえれば」と河瀨監督は期待を込めた。〝河瀨組〟常連の結束今作では、臓器移植を待つレシピエントの子供たちも物語の重責を担った“主人公”だと河瀨監督は言い、「子役は約300人のなかからオーディションで選びました」と説明する。幼い患者が亡くなるシーンを撮影した翌日のこと。「コリー役のヴィッキーが自分の部屋に閉じこもったまま撮影現場に来られなかったことがありました」と河瀨監督が明かす。院内の友達を失い、悲しむ子役の男児の涙に、「ヴィッキーは心打たれ、立ち上がれなくなった」のだと言う。「劇中、亡くなる少女にはモデルがいます」と河瀨監督。「少女は病院でずっと心臓移植を待っていましたが、ドナーが見つからないまま、10歳で亡くなったんです…」河瀨監督はこの少女の話を聞くために、北海道で暮らす〝河瀨組常連〟の尾野真千子(右)と北村一輝が夫婦を演じる23
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