せた作品への確かな自信を伺わせた。「撮影期間は昨年6月から11月。ロケ地は屋久島に神戸、芦屋など兵庫県から岐阜県、そしてフランスのパリなどです」国際派監督らしく今作は日本とフランス、ベルギー、ルクセンブルクとの合作だ。《移植手術を待つ小児患者たちが入院する神戸市内の〝移植と失踪〟…困難なテーマに真正面から斬り込む覚悟う概念とは違う考え方に辿り着けるのではないか…」。そんな強い覚悟を胸に脚本の構想を練っていったと明かす。「前作から公開は6年ぶり。オリジナル脚本では8年ぶりとなります」大阪での試写会場に姿を現し、新作へ込めた思いを熱く語る河瀨監督の充実した表情に、長い時間を費やして完成さ現代人へ突きつけられた課題「人間にとって死は必ず訪れる。しかし、死は決して終わりではなく、その先にも命は続いていく…」新作『たしかにあった幻』の物語を着想した出発点について、河瀨監督はこう前置きしたうえで、「“死=終わり”とい文・戸津井 康之撮影・鈴木 厚志 新作の小説や映画に新譜…。これら創作物が、漫然とこの世に生まれることはない。いずれも創作者たちが大切に温め蓄えてきたアイデアや知識を駆使し、紡ぎ出された想像力の結晶だ。「新たな物語が始まる瞬間を見てみたい」。そんな好奇心の赴くままに創作秘話を聞きにゆこう。 第63回はカンヌ国際映画祭を始め数々の国内外の映画祭賞レースを席捲してきた河瀨直美監督が登場。今月6日に封切られる新作『たしかにあった幻』は〝神戸っ子〟のお膝元、神戸や芦屋などの街並みが主要な舞台の一つとして描かれる。日本が誇る〝カンヌに愛されたミューズ(女神)〟に製作秘話を聞いた。THESTORYBEGINS-vol.63■映画監督■河瀨 直美さん⊘ 物語が始まる ⊘20
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