れたのだった。宮崎翁もさぞ御納得だろう。 ドリアン助川さんについて少し。 樹木希林の主役で河瀨直美監督により映画化された「あん」の原作者である。小説「あん」はハンセン病をテーマにしたもので、2013年の出版以来、世界中で翻訳され今もまだ広がりを見せている。 今回の講演会もハンセン病が取り持つもの。 生前の永瀬がハンセン病への理解が深く、ハンセン病療養所「長島愛生園」に長年通って元患者たちと交流を深め、偏見で苦しむ入所者に詩を書くことで生き伸びて欲しいと支援を続けたという。 そういう共通点があっての今回の講演だったのだ。 ところで、原稿「熊山橋をわたる」は、宮崎修二朗編集の『日本の旅・名詩集』(三笠書房・1967年刊)の求めに応じて書かれたものだが、刊行された本にはこの詩は収載されておらず、「美しい三人の姉妹」という永瀬の詩が巻頭を飾っている。 そうなった理由は、書簡を読むと想像できるがここでは省く。 「熊山橋をわたる」の後半部分を引いておこう。これは世に発表されたものではなく、寄贈した生原稿のもの。何カ所かが修正されている。ドリさんが「たった一つの」という所以だ。全文が読みたい人は「永瀬清子生家」へ。いま一九四八年に入ったばかり鳴ろうとする琴のような新しい年よお前は多分何かよい魔力をそなえているな。その一ふれで忽ち私は戦争にへだてられて逢わなかった人々にもう逢った。過ぎる年押しながされたこの橋もふたたび渡ることが出来た。お前は力のあるものらしいな複雑なみのりをもたらすものらしいな熊山橋を渡ってそれを信ずる。(実寸タテ8.5㎝ × ヨコ18㎝)■今村欣史(いまむら・きんじ)兵庫県生まれ。兵庫県現代詩協会会員。「半どんの会」会員。著書に『触媒のうた』―宮崎修二朗翁の文学史秘話―(神戸新聞総合出版センター)、『コーヒーカップの耳』(編集工房ノア)、『完本 コーヒーカップの耳』(朝日新聞出版)、随筆集『湯気の向こうから』(私家版)ほか。■六車明峰(むぐるま・めいほう)一九五五年香川県生まれ。名筆研究会・代表者。「半どんの会」会員。こうべ芸文会員。神戸新聞明石文化教室講師。107
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