溶連菌などの感染症がきっかけで一時的に起きることが多く、完治が可能なケースがほとんどです。―ネフローゼは何が原因で起きるのですか。なぜ起きるのかは長年、謎のままだったのですが、最近、自分の組織を攻撃してしまう自己抗体が関与していることが分かってきました。ネフローゼの患者さんには腎臓の蛋白が漏れ出ないようにするために一番重要な分子「ネフリン」に対する抗ネフリン抗体ができているという論文が2021年にハーバード大学から発表されました。実際に日本のネフローゼの患者さんで、抗ネフリン抗体がどれぐらいの割合で陽性なのか、陽性の患者さんは治療が効きやすいのか、再発時にネフリン抗体が出るのかなど、まさに今調べているところです。お子さんのネフローゼ患者さんは大人に比べてネフリン抗体の陽性率が高い傾向にあり、測定することで蛋白尿が出たときにネフローゼか否かを迅速に診断できる可能性があります。また、経過観察中に抗ネフリン抗体が見られたら再発を早期に発見できたらいいなと思っています。簡便に抗ネフリン抗体を測定して、治療方針の決定に活かし、世界中の患者さんにより良い治療を提供できるよう研究に取り組んでいます。―腎不全で透析治療が必要になることもあるのですか。ネフローゼで腎不全になるのはほんのわずかです。多いのは先天的、遺伝性疾患で最後の手段が透析になるケースです。お子さんの場合、技術的には血液透析も可能ですが、血液を一旦取り出すという非生理的な状況下ではお子さんの成長が妨げられます。ちゃんと栄養をとれば成長が可能な腹膜透析から始めるのが一般的です。しかし長期間続けると腹膜が傷んでしまいます。できるだけ回避できるように治療をしてあげたいと思っています。―小児でも腎移植が治療方法のひとつなのですか。神大病院では小児の腎移植に泌尿器科の先生方が熱心に取り組んでくださっています。腎臓提供に関しては社会の変化もあり、生体腎移植だけでなく献腎移植も増えてきています。移植手術後の将来が長い子どもさんの場合は、一回の腎移植で人生を全うできるケースは少なく、二次移植が必要になったときに初めてご両親の腎臓を移植することも可能ですので、献腎移植は患者さんにとって大きな意味があり、本当にありがたいことだと思っています。―炎症性腸疾患は小児でも発症するのですか。潰瘍性大腸炎やクローン病は元々、大人に多い病気として知られていましたが、最近はお子さんでも発症し・診断されています。理由はよく分かっていませんが、生活様式や食生活の変化が影響しているのかとも考えられています。主な症状としては、一般的な感染性の腸炎でも起きるような下痢や血便、腹痛です。それが長い100
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