す。傷が小さくて患者さんの負担は軽いのですが、圧着した隙間に血流が入る場合もあり、後に動脈瘤が拡大し、結果的に将来、再手術になるリスクがあり、若い方にはあまりお勧めはしません。―大血管にはその他にも疾患があるのですか。大動脈解離は、高血圧などで血管が圧に耐え切れず血管の壁が裂けて、場合によっては外に向かって破裂します。それだけでなく、分厚い壁に沿ってどんどん裂けていき、脳や心臓、脊髄、消化器、両脚など、体の中のさまざまな場所に向けて枝分かれしている血管への入り口がふさがれ、臓器障害で突然死する危険性があります。若い方にも起こり得ます。―若い人は何が原因ですか。遺伝的にコラーゲンに異常があるマルファン症候群では起こりやすく、神戸大学では遺伝子外来を開設していますので、親御さんが突然死されているなど、家族歴に不安がある場合は遺伝子検査をされてもいいかもしれません。―心臓血管外科は、心臓と大血管の外科なのですね。大血管だけでなく、末梢血管の治療も含みます。脚の血管が詰まって歩くと脚がだるくなったり壊死したりする閉塞性動脈硬化症や、脚の静脈に瘤ができて膨らみ炎症を起こして痛みが出る下肢静脈瘤の治療などもあります。―静脈には瘤や解離は起きないのですか。動脈に比べると格段に圧が低い静脈には負荷がかかりにくく、解離はほとんど起こりません。ただし大学病院には診療科がたくさんあり、消化器外科、呼吸器外科、産婦人科、泌尿器科、整形外科などで、臓器にできた腫瘍が太い静脈と絡んでいるケースがあります。各科の先生方から協力要請があれば、太い静脈の再建手術をします。―赤ちゃんや子どもの先天性疾患も診療範囲ですか。小さな子どもさんは兵庫県立こども病院で手術をします。例えば人工弁が成長するにつれサイズが合わなくなり、再手術が必要になる場合などは、神戸大学で開設している成人先天性心疾患センターで、概ね二十歳以降の患者さんを受け入れています。―低侵襲の心臓手術も行われているのですか。MICS(低侵襲心臓手術)という方法があります。右胸の肋骨の間を数センチ開いて内視鏡を入れ、モニターを見ながら長い鉗子を操作します。痛みが少なく、回復が早い傾向にあり、入院期間も短くなります。ただし、体格や病変の状態により、MICSが適用できない患者さんもおられ、無理をすると手術時間が長くなり、かえって負担が多くなる危険性も高くなります。そこで術前に検査が必要で、その判断は外科医に委ねられます。また、神大病院では心臓のロボット支援手術の訓練を重ね準備を慎重に進めてきました。現在、僧帽弁98
元のページ ../index.html#98