KOBECCO(月刊神戸っ子)2026年1月号
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います。これらによりそれまで難しかったケースでも治療が可能になったり、患者さんの身体的負担が軽減されたりと、その恩恵は少なくありません。その一方で、高度な医療を行うほど人件費もかかり、高額な医療機器の導入やそのメンテナンス、更新も必要になってきます。そういった実情を、政府は机上の議論ではなく、現場を見て考えていただきたいと思います。医療費削減一辺倒では、日本の医療は進歩しません。─医療費削減のために*OTC類似薬の保険適用除外が議論されていますが。八田 *OTC類似薬が保険適用から外れた場合、市販薬は保険適用の薬の自己負担額よりも高いですから、患者さんの負担が重くなってくるでしょう。負担が重くなれば受診控えに繋がって医師の診察を受ける機会が減って早期発見・早期治療の機会が失われます。また、患者さんが自己診断して薬局で購入することになると、正しく服用されるとは限りませんし、特に高齢者や基礎疾患のある方は複数の薬を服用していることが多いので、副作用のリスクも高まるでしょう。他にも入院患者への対応など細かい問題もありますが、何よりも弱者に対する負担増に繋がりますので、OTC類似薬の保険適用除外については懸念しています。予防でより健やかに─高市政権は予防医療に力を入れようとしていますが、これに関してはいかがですか。八田 予防することでどれだけ病気にならないかというのはなかなかデータに出てこないのでよく分からないところもありますけれど、予防医療は大事なことだと思います。エビデンスがある中で一番代表的な予防医療はワクチンです。例えば日本では麻しん・風しんワクチンの接種が進み、現在は麻しん・風しんの排除国に認定されています。一方で子宮頸がんワクチン(HPVワクチン)は、副反応が大きく報道されたこともあり、安全性が確認された後も接種が進んでいません。ワクチンによる予防接種は市町が主体になっていますので、郡市区医師会が行政と連携して接種率を高めていってほしいですね。─生活習慣病の予防についてはいかがでしょう。八田 高血圧や高脂血症に薬を投与することも、一次予防と呼ばれる大きな疾病を引き起こさないための予防の一つです。一度脳梗塞や心筋梗塞を起こした人に二次的な生活習慣の改善を指導したり、薬を投与したりすることを二次予防と言います。このあたりも医師会として力を入れていきたいですね。郡市区医師会で健康講座や医療フォーラムを開催していますが、そこで運動や食生活など生活習慣の見直しを啓蒙していくことで、予防効果を高めてそこから県、全国94

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