KOBECCO(月刊神戸っ子)2026年1月号
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  「ガレット・デ・ロワ」の審査では、基本への忠実さに関する意見が多く出た。シンプルなお菓子だからこそ、明確な素材感の表現と焼き加減の見極めが大切。髙杉氏は「焼きのタイミングがとれていない作品が一部に見られた。生地のストレスを抜いてから窯に入れるなど、すべてに細やかな神経を使う必要がある」と提言。背景には働き方改革などによる時間的な余裕のなさも影響しているのではないかと分析した。ル ビアン・ミッシェル氏も「焼き具合の甘いパイはパンチが足りない。逆に焼きすぎると硬く、見た目が月餅のよう」と語る。ビゴ・ジャンポール・タロウ氏は「ピースに隠れたフェーヴ(人形)を見つけるスイーツゆえ、ナイフで切り分けやすいよう表面をキャラメリゼしないのがトラディショナル」と伝統を守る大切さを説いた。 「ガレット・デ・ロワ」を総評して、林氏は「回を重ねるごとに参加者のレベルが向上している」とパティシエのレベルアップにつながっている手応えを語る反面、使用素材が限られているため、順位決定の難しさがあることも指摘。「だからこそ素材の味や香りを最大限に引き出せているかがポイントに。そのための基本がしっかりできている作品が上位に選ばれた」と語る。例えば、基本プロセスの一つ焼成は〝焼く〞のではなく〝焼き切る〞。 ただし焼き過ぎると焦げ臭くなり、焼き加減による生地の水分量で口当たりも左右される。「入賞作品は全体的にまとまりがあって美味しかった。手間をかけてきちんと作りこんできたと感じられる」と高く評価した。伝統に込められた想い基本に忠実に作り込む真剣な表情で一つひとつの作品と向き合う審査員の皆さん「伝統菓子の文化を理解することが大切」とビゴ氏「基本力の差が結果に出たと思う」と林氏「焼きが味を左右」とルビアン氏76

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