KOBECCO(月刊神戸っ子)2026年1月号
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二監督の映画『スワロウテイル』(1996年)を見て、「将来、映画のカメラマンになりたい」と決意したと言う。この撮影現場で岩井監督の助監督を務めていたのが、若き日の行定監督だった。そしてこの現場で照明を担当していた中村裕樹が、今作『楓』の照明を務めた。『世界の中心で、愛をさけぶ』では日本とオーストラリアが舞台となったが、『楓』では日本とニュージーランドが描かれる。そして大切な人を失うという切ないテーマ。2本の映画が21年の時を経て、時折、オーバーラップする…。だが、行定監督が恋愛映画のなかに込め、描こうと挑み続けてきた繊細な心の感情表現は、より重厚に、より色濃く、そしてより力強く投影され、スクリーンから放たれる。この感情の一つが、行定監督が『楓』の花言葉のなかで最も心に残った〝遠慮=慮る心〟であり、涼や亜子ら登場人物が、それぞれ胸の奥底に秘めた〝遠慮〟の思いが、観る者の胸に迫ってくる。アジアの映画ファンたちに絶大な人気を誇り、韓国で連続ドラマを撮った日本の重鎮監督は、現在、台湾で新作映画を撮る計画があると教えてくれた。「日本人の繊細な心情を映画で世界へ伝えていくこと」。それが、自分にしかできない日本人監督としての責務の一つではないか…。〝恋愛映画の巨匠〟は新境地を拓きながら、今、改めて強くそう自覚している。映画『楓』出演:福士蒼汰、 福原遥 ほか 監督:行定勲 脚本:髙橋泉 原案・主題歌:スピッツ「楓」(Polydor Records) 音楽:Yae 製作幹事:アスミック・エース/東映 配給:東映/アスミック・エース 制作プロダクション: アスミック・エース C&I エンタテインメント Ⓒ2025 映画『楓』製作委員会オフィシャルサイト新作の秘話について語る行定勲監督25

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