約1年、韓国に拠点を移してのドラマ撮影。「とても刺激的でいい経験になりましたが、撮影手法の文化や慣習は日本とはだいぶ違っていて戸惑いも少なくなかった」と明かした。「韓国のキャストもスタッフもとても優秀」と話す一方、「皆が必ず自分の意見を言います。そうしてほしいという要求ではなく、自分はこう思うという意思表示なのですが、自分の意見を言わない者は信用されないということが分かりました。日本ではなかなか思っていても口にして言えないですよね」連続ドラマを撮ること自体、初めての経験。重鎮監督にとって〝初めて尽くし〟の手法の違い、ものの考え方の違いを〝ア「KBS」)での放送も決まったので、12話分まで増やして書くことになりました。急に計画が変わるのは、韓国では珍しいことではなくて」と苦笑しながら振り返った。韓国の地上波の連続ドラマを外国の監督が撮るのは初めて―という快挙でもあった。ウェーの地〟で経験することになったのだ。韓国で無事放送され、日本へ帰国した後の一作目となったのが、映画『楓』だった。そこで、心に響いた言葉が「遠慮」だったのだと言う。「とても日本人らしい感情だと改めて気づかされました」。海外での初のドラマ制作に疲れていた後だけに、「撮りながら心のリハビリにもつながった」とも打ち明けた。完成した映画の試写を、『楓』を作詞・作曲した「スピッツ」のボーカル、草野マサムネたちと一緒に観た。「草野さんは『昔の自分に、この曲は将来、映画になるんだよ』と教えてあげたい、と言って喜んでくれたみたいです」本人は試写後、他の人にこう感想を伝えたというが、行定監督は「直接話してほしかったですね」と少し悔しそうに笑みを浮かべた。実は『楓』はシングル用に作られた曲ではなく、1998年、アルバムのなかの一曲として生まれた曲だった。行定勲監督が、恋愛映画の新境地に挑んだ『楓』のワンシーン23
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