KOBECCO(月刊神戸っ子)2026年1月号
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は好きな曲で断る理由はなかったから」と言う。数々のヒット曲を持つ「スピッツ」だが、彼らの曲が映画の原案となるのは初だった。日本人独特の感情とは「楓の花言葉には『調和』『美しい変化』『大切な思い出』『遠慮』の意味がありますが、私が惹かれた言葉は『遠慮』。この心情を核に恋愛を描きたいと思いました」〝遠慮する=相手を慮おもんぱかる〟という心情は、「とても日本人らしい感情ではないか」と考えたからだ。そう〝意識〟したのには理由がある。この映画を撮る前作として韓国の連続ドラマ『完璧な家族』の監督と脚本を依頼され、単身、韓国へと渡った。「映画『リボルバー・リリー』の公開直後には、もう韓国へ向かっていました。当初は配信だけの予定で全8話分の脚本を書いていたのですが、急遽、地上波(韓国の大手テレビ局には共通の趣味があった。二人は星が好きで天文の本や望遠鏡などに囲まれながら暮らしていた。だが、毎朝、亜子が家から出かけていくと恵は眼鏡をはずし、きちんと分けていた前髪を手で崩す。実は彼は、ニュージーランド滞在中、交通事故で亡くなった双子の弟、恵に成りすました恵の兄、涼(福士蒼汰)だった…》タイトル『楓』は人気バンド「スピッツ」のヒット曲『楓』から来ている。今作の監督を引き受けた経緯が面白い。「プロデューサーから、〝『スピッツ』は好きですか?〟と聞かれたので、〝好きです〟と答えました」いかにも懐の深い行定監督らしい承諾の仕方だが、「元々、『楓』大作だった。「ジャンルにこだわらず撮る」という行定監督の覚悟に変わりはないが、それでも映画界は〝恋愛映画の巨匠〟を放ってはおかない。それは、まるで行定監督に課せられた宿命のように…。《恵と恋人の亜子(福原遥)行定勲監督は日本映画の将来像についても熱く語ってくれた22

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