KOBECCO(月刊神戸っ子)2025年12月号
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体の中で大切な役目を担って働き続けている沈黙の臓器・腎臓。その機能や疾患について、後藤俊介先生にお話を伺いました。―腎臓にはどんな働きがあるのですか。よく知られているのが尿を作る働きですが、そのほかにもたくさんの機能があります。主なものの一つは、血液の中の赤血球を作る働きを助ける物質を出しています。腎臓が悪くなると貧血を起こしやすくなります。二つ目は、骨を強くするビタミンDが腎臓に届くと、体の中でちゃんと働けるように手助けをしています。腎臓が悪くなると骨が弱ってしまいます。さらに、血圧のコントロールに関わるホルモンも作って分泌しています。この機能が落ちると心臓や血管に支障が生じます。―働きが悪くなって慢性腎不全になると、どんな症状が出るのですか。腎臓は肝臓と同じく「沈黙の臓器」といわれ、何らかの理由で急激に悪くなった場合を除き、基本的に慢性腎不全はかなり進行するまで症状は出ません。尿の見た目にも特に変化が現れることもなく、極端なケースでは尿検査や血液検査で発見されたとき、既に腎臓の機能が1割まで低下した段階だったということもあります。大切な役目を担っている腎臓が悪くなるとさまざまな臓器に影響が出てしまいます。傷んできてもぎりぎりまで頑張っているのでしょうね。―何が原因で腎臓は傷んでくるのですか。加齢により使い傷みが生じ、高齢化社会では慢性腎不全の患者さんが増えるのは致し方ないという側面はあります。大きな原因としては生活習慣病の中でも特に糖尿病です。目と神経と腎臓が似たメカニズムで悪くなり、糖尿病の三大合併症と呼ばれています。その中で腎臓は「糖尿病性腎症」などと呼ばれています。―糖尿病が原因で若い人でも慢性腎不全になるのですか。神大病院の魅力はココだ!Vol.49神戸大学医学部附属病院腎臓内科後藤 俊介先生に聞きました。84

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