ときのジムの同僚たちです」とうれしそうに話す。そのなかには、中学校時代の柔道の恩師、そして母の姿もあった。地元・神戸での対戦相手は総合格闘技の強豪国・韓国からの刺客、イ・ボミ選手。「寝技を得意とするのがイ選手。テイク・ダウンを取られないよう、注意を払って戦いました」と話すように、1ラウンド、2ラウンドは距離を取りながら、ハイキックやフックなど得意技を、イ・ボミ選手の顔面に次々とヒットさせるが、最終ラウンドの3ラウンド目。警戒していたテイクダウンをイ選手から奪われると、応援団やファンたちに緊張感が走った。筆者の隣で観戦していた小学生数人の男の子たちが「ケイト、頑張れ!」と声を嗄らしながら、必死で声援を送る姿が印象的だった。この声が届いたのか、ケイト選手は冷静にイ選手の寝技の攻撃をしのぐと、すかさず打撃戦へと持ち込み、最終ラウンドを終了。試合は判定へと持ち込まれた。3人の審判の判定は3対0でケイト選手の勝ち。故郷で念願の勝利をつかみとった。試合前。「周りからは地元神戸なのでTKOかKOで勝ってほしい」と託されていた。その期待は十分に分かっていた。それだけに、試合後の第一声は、「KO勝ちできずに申し訳ありませんでした」と勝者なのに、観客に頭を下げ、悔しさをにじませた。そして、中学時代の柔道の恩師に向かって、「先生、もっと練習を積んで、今度は絶対に完勝しリングアナからコールを受け、観客へ向けて拳を突き上げるケイト選手。「GLION ARENA KOBE」にて30
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