KOBECCO(月刊神戸っ子)2025年12月号
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枠組壁工法壁工法の住宅が輸入住宅として導入されるようになり、1979年に技術基準が定められて広がりました。神戸市東灘区の冨永家住宅は、日本に現存する最古級の枠組壁工法の住宅で、主屋、付属屋とも国の登録有形文化財です。施主の富永初造は、神戸を拠点とした世界的商社だった鈴木商店のシアトル支店で木材を商っていた人物。材料をアメリカから取り寄せ、米国人建築家、ベイリーの設計により100年前に建てられましたが、折しも関東大震災の直後でしたので、地震に強い枠組壁構造が選ばれたのかもしれません。かつてここは音楽家、貴志康一ゆかりの深江文化村の一角。現在も建築当時の阪神間モダニズムの文化を伝えつつ、また、枠組壁工法の耐久性の高さを実証するかのように、現役の住宅として使用されています。冨永家住宅のイメージ図121

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