KOBECCO(月刊神戸っ子)2025年11月号
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が必要です。その段階へと引き継ぐためのマネジメントは救急医が担います。災害医療に関する素養は医療者全員が認識を持っておかなくてはいけない領域だと思います。―神戸大学が救急医療において今後担っていく役割は?神戸市内には中央市民病院や神戸赤十字病院・兵庫県災害医療センターなど特色のある救命救急センターがあり、その中で神戸大学はどういった役割を果たしていくべきなのかを考えています。まず三次救急患者の受け入れ体制を、今まで以上に発展させていくこと。さらに神戸市だけでなく兵庫県全体として安定的に救急医療を提供していくためにも、専門医を輩出できる機関として、救急医療の担い手になってくれる人材を見つけて、きちんと教育できる環境を整え、育成していくことが果たすべき役割だと考えていますQ.ご自身の健康法やリフレッシュ法は?A.日本救急医学会では「人を救うには、まず自分が健康でなければならない」というキャッチフレーズを掲げています。ジムに通ったり、週1回は走ったり、料理をしたり…、まずは、自分が心身ともに健康であることを大切にしています。Q.「救急医になる」という目標を持って医学部に進学されたのですね。A.医学部でいろいろな勉強をするうちに、他にも興味を持つ分野が出てきてちょっと迷った時期もありましたが、医学部6年生のとき、病院実習で週1回の救急外来の当番があり、「やっぱりここだ」と初心に帰りました。Q.日頃、患者さんに接するにあたって心掛けておられることは?A.今、目の前の患者さんを救命するためにやってあげられることは何かをまず考え、一通りの手を尽くしたうえで、患者さんご自身やサポートしておられるご家族が望んでおられることと擦り合わせて治療をしていかなくてはならないと思っています。Q.大島先生が医師、中でも救急の専門医を志された理由は?A.子どものころ、アメリカに住んでいて、テレビなどで見る救急現場で治療をする救命救急士さんに憧れていました。「こんな仕事ができるといいな」と思っていたところ、日本に帰国し、それが医師でもできる仕事なんだと知って、救急医になろうと思うようになりました。Q.救急医を育成するにあたって心掛けておられることは?A.救急医が魅力的な仕事だと理解してもらおうと心掛けています。「初動対応しかできないから達成感が得られない」と感じている人には「サブスペシャリティーやダブルボードで幅広く活躍できる場がある」と、逆に「幅広く」をプレッシャーに感じる人には「自分のできる範囲で頑張ればいい」と伝えたいです。たまに「救急医はドクターヘリに乗らないとダメなんですか?」と聞かれますが、そんなことはないです(笑)。スポーツに関わる救急医療にも取り組み始めています。試合やスポーツイベントで選手のけがや内科的な原因で起きる発作など、緊急事態に対応できるのは救急医です。新たな救急医の魅力の一つとして伝えていこうとしています。大島先生にしつもん89

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