KOBECCO(月刊神戸っ子)2025年11月号
88/124

ような治療につなげて救命するのかをマネジメントして、病状が安定してそれぞれの診療科での一般病棟診療に引き継げる状態になるまで救急医がサポートします。―24時間、常に各診療科の先生方が待機しておられるのですか。診療科によって体制が違い、すべての診療科が常に院内で待機しておられるわけではないのですが、電話対応など何らかの方法で引き継ぎができる体制が取られています。整形外科や口腔外科の先生方には救急救命科に出向いただく形で協力を頂いています。―初期治療から診断まで、救急科の先生方は体全体について医学的知識を持っておられるということですか。臓器別、分野別ではなく、また、けがか病気かにも関係なく、広く知識を持ち、どんな状態の患者さんにも対応できるというのが救急医の専門性です。例えば「心臓は診るけれど肺のことは分かりません」「お腹の中は診るけれど脳のことは分かりません」などと、救急医が臓器を限定してしまうと救急患者さんの対応はできません。―神大病院でも救急専用の集中治療病床ECUが設けられていますが、集中治療までを担う体制を目指しているのですか。救命救急センターに4床開設されています。重症患者さんの命に関わる状態はすぐに解決するわけではなく、数日から2週間程度はかかります。例えば、コロナの重症患者さんに人工呼吸器を付けて酸素を吸ってもらったら、すぐに回復するわけではありません。人工呼吸器を外せるか、ECMOに切り替える必要があるかなど状態をみて、そこを乗り越えた時点で、元の状態まで回復させる治療へとつなぐ。これが、救急医が目指すところで、神大病院でも小さな規模からですが始めているところです。―救急医は集中治療も専門として持っているのですか。救急科という基本領域に付随する集中治療という分野を専門とする救急医は一般的に多いですね。その他にも、付随する専門として外傷外科や消化器内視鏡、血管内治療などを持ち、サブスペシャリティーとして主に治療に関して専門性を発揮する救急医もいます。また、救急医が内科や外科など基本領域をダブルボードとして持つケースもあります。―災害医療というのも救急医療の領域で、救急医の役割の一つなのですか。災害医療に関わるというスタンスの救急医が多いのは確かですが、決して救急医だけで完結するものではありません。災害発生直後はDMATなどで派遣される救急医は欠かせない存在ですが、その後中長期的に、普段とは違う環境で生活することになり、いつも受けていた治療が受けられなくなった方々に対しては内科や外科など一般診療科の先生方の協力88

元のページ  ../index.html#88

このブックを見る