救急医療と救急医の役割や専門性、また神大病院救命救急科の現在と今後の方向性について、大島拓先生にお話を伺いました。―救急医療の対象になる患者さんは?医学的に緊急性が高い状態の患者さん、多くのケースでは救急車で運ばれて来る患者さんを診るのが救急医療です。指先を切ってしまったという程度のけがから、交通事故などによる重大なけがまで、一時的な腹痛や咳のような比較的軽い症状から、心筋梗塞や脳卒中のような内科的な病気、心臓が止まるほどの状態に陥っている患者さんまで、対象はさまざまです。ただし神大病院は三次救急医療機関ですので、救急救命科では比較的重症で速やかに治療が行われないと命の危険に直結するような状態の患者さんを主に受け入れています。―今年の夏には多くの熱中症の患者さんが搬送されて来たのですか。熱中症は最重症で命にかかわるケースもありますが、ほとんどの場合、点滴や体を冷やすことで回復しますので、三次救急まで来ることはあまりないですね。一方で、熱中症が疑われて搬送されてきて、いろいろ検査をしてみた結果、実は感染症や肺炎にともなう発熱だったということはあります。―神大病院の「救命救急センター」はどういう位置づけなのですか。神大病院では救命救急センターを救命救急科と総合診療科で共同運用しています。救急患者さんが来られたら重症・軽症分け隔てなく受け入れをしますが、概ね救急車で搬送されるような重症の患者さんや神大病院初診の患者さんは救命救急科で、比較的軽症の患者さんや普段から当院を受診されている場合は総合診療科と、受け入れを振り分けています。もちろん、はっきりとした線引きをしているわけではなく、臨機応変に対応をします。神大病院の魅力はココだ!Vol.48神戸大学医学部附属病院救命救急科大島 拓先生に聞きました。86
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