兵庫県医師会の「みんなの医療社会学」 第170回度経済成長期で、現在とは経済成長率や人口構成も大きく異なっています(表1)。ところがご存知の通り、現在は高齢化が進み、経済成長も鈍化してきていますよね。ですから公費を投入しないと成り立たない状況なのです。─やはり、医療費が増大しているのでしょうか。武部 国民医療費は年々増加し、令和4年は46.6兆円、対GDP比で8.2%にも達しています。人口一人当たりの医療費は平成3年時点で17.6万円でしたが、令和4年は37.7万円ですので、30年間で2倍以上に増加していることになります。─医療機関が儲けすぎているのではないですか。武部 むしろその逆です。日本の消費者物価指数は過去10年間で10以上も上昇し、全国が、その医療を支えている皆保険制度が、ちょっと大変になってきているんですよ。─それはなぜですか。武部 皆保険制度のもととなる国民健康保険法は昭和33年に制定されましたが、当時は高─日本の医療水準は世界的にみてどのレベルにありますか。武部 世界でも有数の長寿国を実現している日本の医療は、世界保健機関(WHO)や英国医学誌『THE LANCET』をはじめ、複数の国際機関から高評価を獲得しています。です「日本の医療費」これからどうする?兵庫県医師会 医政研究委員会委員武部整形外科リハビリテーション 院長武部 健 先生82
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