近年の日本の夏は酷暑が続いている。「昨年の淡路島も猛暑でした。蒸したお米などを使うので、室内は40度を超えていました」と振り返る。「撮影スケジュールはびっしりと詰まっていて、撮影の合間も台詞覚えなどに忙しく、ほとんど島内を周ることはできなくて…。ロケ撮影での楽みのひとつが、その土地の郷土料理を食べること。でも、今回の撮影中は3食とも〝ロケ弁当〟という日も多く…」と悔しがった。ただ、「それでも何とか忙しいスケジュールの合間を縫って、近くの道の駅へ行ったり、地元のお店で郷土料理を味わうこともできました」と笑顔で振り返った。今作は、2012年から続く「種まく旅人」シリーズの通算5作目となる作品だった。「映画を通して第一次産業の素晴らしさや豊かさを伝えていきたい」という願いを込めて始まった、現在まで13年続く企画。1作目『種まく旅人~みのりの茶~』は大分県臼杵市が舞台で、メガホンを執ったのは、このシリーズの発案者であり、ハリウッド俳優などとしても活躍した塩屋俊監督だった。シリーズ化を構想した塩屋監督による念願の企画が、ようやくスタートするも、公開翌年の2013年、塩屋監督は56歳の若さで急逝する。悪役への挑戦も?「〝日本の食文化の魅力を伝えよう〟という思いから生まれたシリーズ5作目の主演に抜擢されたことは、とても光栄で、その責任の重さも感じています」そう語る菊川の目に自然と力がこもった。『種まく旅人』シリーズの続編も気になるところだ。農林水産省の地域調査官、神崎理恵が〝渡り鳥〟のように、全国の食文化を応援するために、日本各地を旅して升毅演じる蔵元4代目、松元(写真左)と、菊川怜演じる理恵(同右)は伝統の酒蔵を守ることができるのか…農水省キャリアの理恵(菊川怜)は単身、東京から淡路島の酒蔵を訪れる38
元のページ ../index.html#38