初の役どころへ〝体当たり〟の挑戦「これまで、医師や弁護士、学校の先生など様々な役を演じてきましたが、今回は初めて挑む役。それも、ちょっとこれまでとは趣が違って、戸惑いもありました」こう語る初挑戦となる役とは農林水産省のキャリアだ。久々の映画出演。それも主演の大役を背負った役作り。「どんな思いで現場に立ったのか?」と問うと、笑顔を弾かせながらこう答えた。「〝キャリアとして働く女性〟というよりも、〝日本酒をこよなく愛する女性〟という部分を〝一点突破〟で演じてみようと決めました。実は、私も日本酒やワインなど、お酒がとても好きなんです」伝統的な日本酒造りを続けてきた淡路島の老舗の酒蔵に、農林水産省の地域調査官、神崎理恵(菊川怜)が訪ねてくる。酒蔵の5代目、孝之(金子隼也)は酒造りについて熱心に説明するが、4代目蔵元の松元(升毅)は、東京から、突然やって来た理恵に対し素っ気ない。だが、日本酒好きの理恵は作業着姿に着替え、蔵人のなかへ飛び込んでいく…。 「撮影が始まる前に、日本酒造りのビデオや資料などを見て、その工程などを事前に勉強しました。でも、実際に酒蔵に行って、その製法を目の当たりにして感動しました。直に接する、お米の匂いや食感などはやはり違うなと」劇中で、理恵が蒸したばかりの米に触れたり、口にする場面などが描かれる。「あのシーンは特に印象に残っています。何とも言えない良い香りで、蒸したお米はとてもおいしくて…。現場でも特に力を入れて撮影した場面なんですよ」日本酒造りの行程のなかでも〝肝〟となる重要なシーン。その魅力を映像で伝えるためにも、「〝渾身のカット〟だった」ことを教えてくれた。この撮影中、篠原哲雄監督の強い思い入れがカメラの横からもひしひしと伝わってきたと言い、「とても印象に残る、私の大好きな場面になりました」とも。淡路島での撮影代々伝わる淡路島の老舗蔵元を借り切っての撮影だった。「実際の酒造りは冬に行われますが、蔵元を借りるために、映画の撮影が行われたのは昨年の9月です。職人たちが住み込みで働く部屋なども借りての撮影でした」淡路島の老舗酒蔵に飛び込み、日本酒造りを学ぶ理恵役の菊川怜(写真中央)37
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