KOBECCO(月刊神戸っ子)2025年11月号
31/124

社では現在も明治30年代のレシピで製造されたウスターソースを販売している。そのうちソースは神戸に定着して進化する。大正12年(1923)創業の道満調味料研究所は昭和戦前にすでにどろソースを提供、さらに社名を道満食品工業に変更した翌年の昭和23年(1948)、濃厚でとろみのあるとんかつソースを世界で初めて販売。洋食メニューのみならず、関西の粉もん文化の発展に大きなインパクトを与えた。そして令和のいま、神戸は全国屈指のソースシティーとして存在感を示し、前述の阪神ソース、道満食品工業改めオリバーソースのほか、ニッポンソース(1949~)、ブラザーソース(1950~)、ばらソース(1955~)、プリンセスソース(1957~)といった歴史ある地ソースたちがそれぞれの個性的な味わいで神戸の洋食文化を引き立てている。なお、長田神社前商店街のユリヤに行けば、これらのソースがすべて手に入るのでぜひ。2023年に創業100周年を迎えたエム・シーシー食品では旧オリエンタルホテルのレシピを再現している。「100年前のビーフカレー」を発売した。直火で焼き上げたルーに、あめ色になるまで炒めた淡路島産のたまねぎと煮出したブイヨン、マンゴチャツネを加え、国産牛肉のうま味が溶け込み、神戸の洋食のルーツを今に伝えている。大正時代に和洋折衷メニューとして誕生したコロッケは、日本の三大洋食として親しまれている。1989年当時、市販のコロッケは冷凍が主流で、利便性を重視する風潮があった。そこで、ロック・フィールドでは、安心・安全で素材にこだわったおいしいコロッケを開発、それがお馴染みの神戸コロッケ。現在、ポテトコロッケ、クリームコロッケ、旬野菜のコロッケなど多彩なメニューで食卓においしさを届けている。神戸の洋食のルーツを今に神戸コロッケ誕生秘話日本で最初のとんかつソースを販売したオリバーソース。昭和中頃の宣伝カー31

元のページ  ../index.html#31

このブックを見る