KOBECCO(月刊神戸っ子)2025年11月号
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震災をテーマにしたドラマ『神戸在住』(劇場版も公開)を手掛けており、中江とのタッグが生まれた背景には、阪神・淡路大震災でつながる監督と女優…という縁も感じさせる。『道草キッチン』の現場では、白羽監督からは、「特に演出や演技指導などはなく、私に任せてくれていました」と言う。白羽監督の絶対的な信頼を受けての出演依頼だった。中江もその期待に応えたかった。「この作品では、あえて役作りはしない。あえて演じない。そう決めました。その場、そのときの反応を大切にしようと。演じようとしたら力が入ってしまうので、撮影現場ではいつも脱力しているようにしていました」今までの映画現場では試みたことのない、“演じない役作り”に初めて挑んだ。立ち止まらぬ表現者女優であり、作家であり、脚本家としての顔も持ち、また、テレビの情報番組などでコメンテーターを務めるなど、多ジャンルで活躍する。小学生のころから無類の読書好き。年間300冊を読破する俳優界きっての読書家として知られ、テレビの書評番組などにも出演してきた。「女優、作家、脚本家。一見、違う仕事のように見えますが、私にとってはどれも同じ“表現のひとつ”です。表現者として『女優として演じるのか』『作家として書くのか』…。表現したいと思う作品にとって、演じた方がいいのか、文章で書いた方がいいのか、そのテーマにとって最もふさわしい表現法があると思うのです」この“表現の在り方”について、「シンガー・ソングライターと似ているかもしれませんね」と続け、「ミュージシャンが特に意識することなく、歌を作詞・作曲し、自ら歌うことと同じように…」と分かりやすくたとえた。24

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