映画の現場は女優の原点1973年、大阪市で生まれ、幼少期を過ごす。上京後、1989年にデビューするや、たちまち人気アイドルとして脚光を浴び、歌手に女優、CMキャラクターなど次々と活動の場を広げていく。1991年、大林宜彦監督がメガホンを執った映画『ふたり』で映画デビューを飾ると、1998年、大林監督が手掛ける『風の歌が聴きたい』でヒロインに抜擢され、初の映画主演を果たす。『道草キッチン』で映画主演は26年ぶりと書いたが、2020年、大林監督の遺作となった『海辺の映画館―キネマの玉手箱―』にも中江は新を学んだり、自分の生き方を見つめなおす立の姿が繊細に描かれる。「実際に徳島県にはベトナムからの移住者がとても多いんですよ」と話し、撮影中、徳島へ移住したベトナムの人たちと交流を深め、ベトナム料理の調理法なども教えてもらったという。聞記者役で出演している。「大林監督は、映画デビューしたときから、私にとって、ずっと“映画の父”のような存在でした。まだ、何も分からなかった私に映画の現場で優しく教えてくれた父なんです」大林監督にとっても、中江は“映画のミューズ(女神)”のような存在だった。映画『ふたり』は大林監督の“新・尾道三部作”と呼ばれ、以後、中江は大林作品に欠かせない“常連女優”として撮影現場に呼ばれ続けていた。映画女優として活躍する一方、テレビドラマの女優として転機となった出演作に1995~96年に放送されたNHK連続テレビ小説『はしらんか!』がある。阪神・淡路大震災で友人を失い、心に傷を負ったまま博多へ転校する高校生役。親友役の菅野美穂と二人で溌溂としたヒロインを演じ、注目を集めた。『道草キッチン』の白羽弥仁監督は芦屋市出身で現在、神戸市で暮らす。2015年、映画『道草キッチン』より23
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