KOBECCO(月刊神戸っ子)2025年10月号
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 8月16日、神戸市北区の有料老人ホーム、神戸ゆうゆうの里で、入居者を対象としたレクチャー・コンサートがおこなわれた。夏真っ盛りの中で少しでも涼をと川や水をテーマに、前半は兵庫・神戸のヒストリアンこと田辺眞人先生のレクチャー、後半はトークを交えながらのコンサートという2部構成のプログるが、これらは穀物の実りをもたらす霊力を持つ地域の重要な川であり、実は兵庫県最大の河川、加古川もかつては「ひのがわ」とよばれた。その上流の「氷ひかみ上」や流域の聖地「日ひおか岡」など地名に「ひ」の痕跡が残るという田辺先生の解説に、参加者たちは頷きながら耳を傾けた。さらに中国とヨーロッパの川の文化の話題も時事ニュースを交えながら紹介し、最後に「毎「川と夏の音楽文化」夏のレクチャー・コンサートひょうご神戸まちかど学だよりラムで、80席用意された座席はすぐ満席となり急遽増席されるという大入り満員となった。 まずは田辺先生のレクチャー。この日は五山の送り火の日ということで、お盆の供養にも使われる経木塔婆を取り出し、「この形は、仏教で世界を構成する5つの要素、五輪です」。 五輪とは地・水・火・風・空であり、水は仏教の世界観で世界の要素として不可欠であるばかりか、中国の五行思想でもギリシャ哲学でも万物の源とされていると解説した。 そしてその水が流れる川の文化の話題へ。日本最古の川の名前について、日本書紀では「簸川」、古事記では「肥河」で、いずれも「ひのかわ」とよぶ。この「ひ」とは農業を支える霊魂をあらわすと田辺先生。そして全国に日野川、氷川、樋井川、揖斐川など「ひ」の川があ川の文化史について多角的にレクチャーする田辺先生コンサートはフルートとピアノの二重奏で神戸ゆうゆうの里で開催94

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