Q.12月のコンサート、ピアノソロは、ブラームスとモーツァルトですね。 コンクールのおかげで、僕はすっかり“ショパン弾き”のイメージになっているので、「ショパン弾かないの?」と思われるかもしれませんね(笑) でも実は、僕の音はブラームスの曲に合うんです。ブラームスを弾いていて「なんかわかる…」と思うことが、どういうわけか初めからありました。それでも、初めてコンサートで弾くときは不安いっぱいでレッスンに行ったのですが、先生は「反田君はブラームスをよくわかっているから何も言うことはありません」と。その言葉にすごく安心して、それからは自信をもって僕が感じるブラームスを弾いています。Q.神戸では、ブラームスの中でも特に好きな曲『間奏曲 イ長調 Op.118-2』を演奏。これは嬉しいです。 いろんなところで好きだと話していますね(笑)。本当に大好きです。 ブラームスが、愛する人、クララ・シューマンに贈った作品で、彼女への大きな愛、無償の愛を感じます。この曲が好きって方は多いと思いますよ。僕はブラームスの音楽から器の大きさも感じていて、ピアノでもシンフォニーでも、そこを表現したいといつも思うんです。Q.もう1曲は、モーツァルト『きらきら星変奏曲』。 このメロディはみんなが知ってるけど、モーツァルトのソナタだということは、知らない人も多いのでは?実は最後まで弾くと16分くらいかかる大曲なので、プロが弾く『きらきら星』を聴いてほしいと思って選びました。子どもも口ずさむことのできるシンプルなメロディがどんどん変わっていくおもしろさ。モーツァルトの素晴らしさがわかる1曲だと思います。Q.ベルリン・フィルの弦楽奏者とのアンサンブルは特別感があります。 長い歴史のある、最高峰と言われるオーケストラのトレンド、スペシャルなメンバーです。素晴らしい方々なので、共演する僕も楽しみです。 クインテットはシューベルト『鱒』。学校で習った方もいるかもしれませんね。このお話をいただいてすぐに「演奏したい!」と頭に浮かんだ曲です。モーツァルトと同じ、オーストリア生まれの作曲家です。生まれ育った国をそろえるのはよくあることで、プログラムにまとまりが出ると思っています。 それからブラームスのカルテット。僕が惹かれているこの作曲家の素晴らしいところを、このメンバーなら最高の演奏で伝えられると思っています。Q.ところで、「僕の音はブラームスに合う」とのことですが、“音が合う”とはどういうことでしょう。 シンパシーが近いという言い方が近いかな。なぜかわからないけど、作曲家の表現したいことが理解できるというか。モーツァルト、リスト、ラフマニノフも、“合う”と感じる作曲家です。79
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