有馬の温泉宿「陶泉 御所坊」や「有あり馬ま山さん叢そう御ご所しょ別べっ墅しょ」、「小鼓」で知られる西山酒造場、日本茶の老舗「宇治園」・・・。唯一無二の趣を湛える空間建築物、ロゴやパッケージは、美術作家・綿貫宏介氏が手掛けたもの。何ものにもとらわれない自由自在な生き方「応物無汸」の哲学を「無汸庵」という号に込め、陶芸、ガラス、絵画、詩、書、建築など、様々なジャンルで独自の世界観を確立した。2021年に綿貫氏が他界後、氏が設立した会社「無汸庵宗家」を継いだのが、「御所坊」グループを営む金井家16代目の一かず篤しげ氏だ。宿づくりを通して氏の考え方に深く携わってきたこともあり、後継者に指名。綿貫一篤氏として、綿貫氏の作品の保護や技術の継承、作品群を体感できるアートガイドなどを実施する。「綿貫先生が亡くなられる前に『君の記憶に残ることで、僕は永遠に生きることができる』とお話しされていて、先生の作品に宿る哲学や美意識を絶えさせてはいけないと考えました」と語る一篤氏。「アーティスト」と呼ばれることを嫌っていた綿貫氏は、自らの「無汸庵の世界」の魅力を伝えていきたい。綿貫宏介氏の美意識を感じる革製品を販売伝説の美術作家、無汸庵・綿貫宏介氏の世界観を守り、未来へと繋げる活動を行う「無汸庵宗家」。今は亡き綿貫氏が自ら製作し、愛用していた革の懐中時計ケースをもとに「STUDIO KIICHI」が再構築。スマホケースとして販売をスタートさせる。綿貫氏手作りの「懐中時計ケース」を「スマホケース」へとリ・デザイン。収納品は異なっても時を刻むアイテムへの想いやスタイルは極力同じに。革の色味、形や革糸の結び方など、細部までこだわって再現した。革や革糸のカラーは複数色あり44
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