KOBECCO(月刊神戸っ子)2025年10月号
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この動きと一線を画して古き佳き木造建築を生かすだけでなく、稀代のデザイナー、無汸庵・綿貫宏介による芸術性と遊び心に満ちた唯一無二の空間に。流行に左右されぬ揺るぎない〝世界〟を醸し出している。その綿貫宏介作品のギャラリー「ガレリーア・レティーロ・ドウロ」となっているのが、なまこ壁が美しい1890年築の「御所坊土蔵」だ。もともとは御所坊13代主人自宅に併設された茶室付属の蔵だったという。竹を編んだ有馬籠は16世紀から湯の街の名産品として親しまれているが、その生産の最盛期だった大正時代の末期、若き竹細工の名人として名を馳せていた駿するかわ川兼重竹参斎が建てたのがこの「旧駿河屋」だ。この建物を手がけたのは地元の大工、清水弥三郎。木造三階建てで、杉丸太の化粧垂木にゆるやかな勾配の屋根が大きく旧駿河屋(国登録有形文化財)御所坊本館 サロン・ド・ロシ御所坊本館 和洋特別室御所坊土蔵 国登録有形文化財御所坊新館 国登録有形文化財土蔵は「ガレリーア・レティーロ・ドウロ」として活用42

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