た。この太子像がそのことと関係があるのかはわからないが、ちょうど湛幸が活躍していた時期ではある。善福寺は仁西ゆかりの寺院だが、熊野信仰ではなく太子信仰の宝物があるというのが面白い。病を得て湯治に訪ねた人たちに対し、有馬ではさまざまな信仰の場や機会を提供していたということなのかもしれない。より作者がはっきりしていて史料的価値も高い。現在は神戸市立博物館で厳重に保管されている。鎌倉時代に太子信仰を広めた僧の一人に、奈良の西大寺を再興した叡尊がいる。彼は旅先で太子講を広めていたが、実は1281年に有馬を訪ね12日ほど滞在、温泉寺で堂供養をおこなって信徒に菩薩戒を授け善福寺の山門を望む曹洞宗 善福寺40
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