プールテイブル支点腕錘プールテイブル脚鉛直線中心線ずれ θ 理論的には、θ はどんな値でも取れるのに、 何故か θ ~ 0 そこで、今回は、その代わりに、こんな喩え話を持ってきましょう。これは、アクシオン研究の第一人者であるピエール=シキヴィエが考え出した喩え話で、これを読んだとき、当時大学院生であった僕はあまりの見事さに舌を巻きました。ここに、誰が置いたかわからないプール・テイブル(ビリヤードをする台)があります。これが宇宙、あるいは宇宙の仕組みを表わすものとします。ビリヤードの球が勝手に転がり出してはいけないので、通常、プール・テイブルは水平に置かれています。しかし、このプール・テイブルを調べたところ、人間では不可能なほどの精度でぴったり水平に置かれているのです。をを神よ!と宗教家なら叫んで終わりかも知れませんが、物理学者は神に頼らずにその理由を考えるのです。そこで考え出したのが、このプール・テイブルが、図の右のように、振り子のようになっているのではないか、ということです。理論物理学者がそのような考え(理論)を出したるのだから仕方ない」と達観することもできるのですが、物理学者というものは、そんなことでは納得せず、かならず、「そうなっている理由」を考え出すものです。そこで考え出されたのが、ロベルト=ペッチェイとヘレン=クインによる「ペッチェイ・クイン理論」です。この理論は、「強い力」においてCP対称性が自動的に成り立つことを説明しています。そして、その理論が正しければ、アクシオンという粒子が存在することとなるのです。と言っても、何のことやさっぱりわからないでしょう?それも当然で、これを説明するには、「強い力」の理論から説明していかねばなりません。それは大学の講義であって、本コラムに相応しいものではありません。源です。「強い力」は、理論的には、CP対称性を保つ必要はまったくなく、どれだけ破れていても構いません。しかし、実際に測定してみると、おどろくほど対称で、まるで破れていないのです。まぁ、「そうなってい31
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