KOBECCO(月刊神戸っ子)2025年10月号
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もしあなたが宝くじに当選して新しく家を建てることになったら、どんな建物にしますか?「白壁にオレンジの瓦屋根とアーチ型窓のスペイン風に憧れる」とデザインからイメージを描くでしょうか?「吹き抜けのあるリビング、寝室は3つあるといいな」とプランから考える人もいるでしょう。「断熱性能が高いエネルギー自給型のスマートハウスで、ナノバブルのお風呂にサウナも」と機能や設備を重視するケースもあるでしょうね。でも「地盤を考えてベタ基礎、木造軸組で筋交いには制震ダンパーを入れて、トラス梁でワイドスパンにしようかな」なんて、構造から発想する人はそういないでしょう。でも、構造は建築にとって最も重要な要素と言えます。どんなに素敵なデザインでも、どんなに居心地の良い空間でも、どんなに先進の設備を備えていても、安全に建っていないと意味がないのですから。つまり、ちゃんとした構造なくして建物はその役割を果たせないのです。当たり前のように建っている家やビルも、構造計算により導き出された構造設計に基づき、適切な強度や力学的バランスを保っています。ちょっとわかりにくいところもありますが、構造には人類の英智の粋が詰まっていると言っても過言ではないでしょう。そもそも「構造」とは?『建築大事典』(彰国社)によると「①建造物を構成する要素のうち自重、積載物をはじめ風圧力や地震力に抵抗することを主要目的として空間を形成するもの ②建築物の設計に当たって力学的な安全性の確保を検討しながら空間構成に参加する構造設計の部門 ③建築物の建造、組立 ④構成」とあります。構造の視点で、どのように建っているか、どのような組「どう建てるのか?」を追求する平尾工務店にとって、構造は大きなテーマです。おなじみの建物から世界的名建築までさまざまな建築物について、「構造」という視点を交えながら一緒に学んでいきましょう。「構造」とは?Chapter 0建築構造インサイト132

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