KOBECCO(月刊神戸っ子)2025年10月号
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トハット邸」(1930年)の床から天井までを覆う電動の窓は、床下へと引き下げられることで、室内と屋外とが一体となった開放的な空間をつくり出します。また、ルイス・カーンによる「フィッシャー邸」(1967年)の居間の窓は、つくりつけのベンチと一体となっており、採光や換気など、それぞれに役割を持った複数の窓の組み合わせが、心地よい居場所を生み出しています。展覧会では他にも、古いアパートの壁を取り壊して、一面をガラスブロックで覆ったピエール・シャローの「メゾン・ド・ヴェール」(1932年)、工場の余りものの部材を使って、家族や仲間ともにひと夏でつくり上げたジャン・プルーヴェの「ナンシーの家」(1954年)、フィンランドの湖に浮かぶ小島に、夏を過ごすための家として設計されたアルヴァ・アアルトの「ムーラッツァロの実験住宅」(1954年)など、住む人の個性やその土地の気候風土を反映した、様々な住まいの実験をご紹介しています。現代のわたしたちの住まいや暮らしを形づくったルーツを振り返ることで、それが今日にどのように受け継がれ、そして未来の生活にどのようなヒントを与えてくれるのか、考える機会となれば幸いです。 (学芸員・林優)■神戸市中央区脇浜海岸通1-1-1■TEL.078-262-1011■休館日:月曜(祝日・振休の場合は翌平日)■開館時間:10:00-18:00(展示室への入室は17:30まで)兵庫県立美術館HYOGOPREFECTURALMUSEUMOFARTリナ・ボ・バルディ カサ・デ・ヴィドロ 1951年フランク・ゲーリー フランク&ベルタ・ゲーリー邸 1978年ⒸFrankO.Gehry.GettyResearchInstitute,LosAngeles(2017.M.66)リビング・モダニティ住まいの実験 1920s-1970s2025年9月20日(土)― 2026年1月4日(日)兵庫県立美術館 企画展示室13

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