社会のニーズに応えて神大病院精神科神経科が力を入れている児童思春期・AYA世代のメンタルヘルスの取り組みについて、大塚郁夫先生にお話を伺いました。―なぜ神大病院では専門外来開設に至ったのですか。近年、こころに何らかの不調を抱えた子どもや若者が増え、サポートのニーズは高まっています。ところが、専門の病院やクリニックはまだまだ少なく、初診の予約をとるのに半年待ちということもあります。特に子どもや若者の場合は、半年の間に問題が深刻化・複雑化してしまうことも少なくありません。そこで神大病院では2023年4月、専門外来「児童思春期・AYA世代こころの総合診療センター」を開設しました。―AYA世代とは?Adolescent and Young Adult(思春期・若年成人)の頭文字をとった言葉で、一般的に15歳から39歳までの方を指します。児童思春期の精神科専門診療が対象とする患者さんたちは、成人後に症状や悩みが続いていても「成人になった」ということで突然診療が終了してしまい、診療の行き場を失ってしまうことがよくあります。そこで私たちは、未成年の患者さんはもちろん、成人後も“AYA世代の患者さん”として、就学・就労・結婚・出産・子育てなど様々なライフイベントに直面して複雑なこころの問題を抱えやすい時期を継続的・包括的に支援できるよう、専門外来の対象世代を幅広く設定しています。―どんな悩みを抱えた子どもや若者が受診するのですか。メンタルヘルスの問題は社会文化的背景と連動します。最近はゲームやスマホの使いすぎを心配して来院されることも増えています。でも現代の若者は多かれ少なかれスマホを利用して過ごしていますよね。親御さんのほうが「我が子はスマホ依存になっている」と心配して連れて来神大病院の魅力はココだ!Vol.47神戸大学医学部附属病院精神科神経科大塚 郁夫先生に聞きました。100
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